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「電気料金の削減効果を実感 太陽光発電を増設」市内在住 島田直人さんのケース

脱炭素社会の実現に向けて、川崎市は2030年度までに累計33万kW以上の再生可能エネルギー導入量を目標に掲げ、太陽光発電の普及啓発に力を注いでいます。一戸建て住宅に太陽光発電パネルを導入した島田直人さんは、「電気料金の削減で大きな効果があった。数値で見るとその効果がよく分かる」と力強く話しています。

30年間で比べると約110万円おトク

 太陽光発電は、太陽と太陽光パネル、電気を変換するパワーコンディショナーがあれば、自宅が発電所となり、電気を創ることができます。火力発電とは異なり、発電時に温室効果ガスの原因となるCO2を排出しないため、地球環境に配慮しつつ、現在の豊かな生活を続けていくためのクリーンなエネルギーとして注目を集めています。

 近年、電気料金が高騰してきたことを受け、太陽光発電による電気料金削減効果の高さから、再注目を集めるようになりました。例えば、同じ電力消費量の家庭で比較した時、1カ月あたりの電気料金が13,000円程度の家庭が、太陽光4kWを設置すると実質約4,500円となります。

 電気料金が安くなる秘密は、「自家消費」と「売電収入」にあります。自家消費とは、太陽光パネルで発電した電気を自分の家で消費することを指します。電力会社から購入する電気の量が減りますので、電気料金の削減につながります。

 発電したけれども消費しきれない電気を、電力会社に売って収益を得ることもできます。これを「売電収入」と言います。この自家消費で削減した分と、売電収入で得たお金を計算すると、電気料金が実質約3分の1になります。

「でも、太陽光発電設備を導入すると初期費用や修繕費などのコストがかかって、結局、同じくらいの支出になるんじゃないの?」という疑問に応えるべく、先ほどの条件で30年間運用した場合を試算してみました。すると、太陽光を設置しない場合は、毎月の電気料金の支払いがあるため30年間で約461万円の支出になるのに対し、太陽光を設置した場合は、初期費用がかかったとしても、電気料金が削減されます。その結果、設置した方が約110万円分おトクとなる試算となりました。

目的は「電気料金の削減」 相見積で判断基準を磨く

 太陽光発電による電気料金の削減の効果を期待して2018年に設置したのが、島田直人さんです。「妻と3人の子どもがいる5人家族です。ちょうど購入した一戸建てに引越して1~2年が経ち、落ち着いたタイミングでした。子どもたちの将来の教育資金などを考えた時、毎月の固定費である電気料金を削減する方法として行き着いたのが太陽光発電でした」と振り返ります。

 島田さんはさっそく太陽光発電に関する情報を集め始めました。まずは太陽光発電の見積を複数の業者に一括で要求できる「見積まとめサイト」で相見積を依頼。複数社から見積と説明を受けた中で、自分の中で最も信頼を置けると感じた業者に決めました。

「私は3~4社から見積と説明を受けました。複数の業者とやり取りをすると、『あの業者はちゃんとヒアリングしてくれたけど、ここは違った』とか、『この業者は説明をしてくれたけど、あそこの業者はしてくれなかった』、『この業者は見積にこの項目を入れているけど、ここは違う』など、自分の中で判断基準ができてきて、太陽光発電を設置した時のイメージが明確になっていきました。やり取りが重なるのは手間ではあるけど、自分に合った業者を選ぶのに必要なステップだと思います」

電気料金を管理し効果を可視化 追加設置の決意を固める

「僕の性格上、設置して終わりじゃなくて、設置してから本当に電気料金の削減効果があったのか、設置にかかった費用は電気料金の削減分で回収できるのか、数値として知りたくなったんです」と、はにかみながら見せてくれたのは、毎月の電気料金、発電量などをまとめたデータシートでした。このシートによると島田さんは、「まさに、太陽光発電の効果てきめんだったということができます」と太鼓判を押します。最初に太陽光発電を設置してから5年後、さらに追加で太陽光パネルを設置する決断を下しました。

 それに、と島田さんは言葉を続け、「2022年ごろからは電気料金が高騰してきていますよね。2021年の電気料金単価が27円程だったのに対し、2023年は40円程。約1.5倍になっています。シンプルに考えて、電気料金がこの2年間で1.5倍になり、これから先も高騰していく可能性が高い訳ですが、うちは太陽光発電による自家消費があるので、電気料金が高くなっている、という実感があまりありません。このペースで発電してくれていれば、あと2~3年で設置や修繕にかかった費用は回収できそうです」。

「まずは業者に相談、行動することが大切」

 着実に情報を集めて太陽光発電を設置して効果を実感している島田さん。一方で、太陽光発電を導入した時に一緒にやっておけばよかったという後悔が無いか水を向けると、「当初の目標である電気料金の削減は達成できましたが、これだけ削減ができるのなら、オール電化の家にすればさらに大きなメリットが得られたかもしれない」と話します。「ただ、結局はもしもの話なので、現状にまったく後悔はありません」とキッパリ。

 太陽光発電の導入を検討する人に向けては、「電気料金は毎月支払われるものですが、この固定費を見直せば、さらに安心して豊かな生活が送れると思います。まずは業者に相談をするところから初めてみるなど、行動していくことが大切なのではないでしょうか」と投げかけていました。


◆教えてくれた人
島田直人さん
・・・妻と子どもの5人家族。2018年に自宅に太陽光発電(3kW)を設置し、その電気料金削減の効果があったことから、2021年に太陽光発電(3.5kW)を増設した。