家族を守る「電気の備蓄」セミナーを開催しました(2026/3/20)

災害等でライフラインが停止した際に家族を守り抜くための知恵を学ぶ「家族を守る『電気の備蓄』セミナー〜災害時でも停電のない暮らしを実現する、太陽光発電と蓄電池の正しい使い方〜」が、2026年3月20日に川崎市役所本庁舎で開催されました。講師には、登録者数20万人を超える人気YouTubeチャンネル「死なない防災!そなえるTV」を運営する、備え・防災アドバイザーの高荷智也氏が登壇。近年注目されている「在宅避難」の重要性と、それを支えるエネルギー備蓄のポイントについて、プロの視点から分かりやすく解説しました。
避難所は「最後の手段」 在宅避難を支えるライフラインの代替
高荷氏は、建物が無事であれば自宅で生活を続ける「在宅避難」こそが、災害時の第一の選択肢であると強調しました。避難所は宿泊施設ではなく、屋根と床以外は基本的に自ら持参しなければならない過酷な環境であり、定員や物資にも限りがあります。また、避難所の運営主体は自治体ではなく、避難者自身であるという厳しい現実も指摘。「災害時にとりあえず避難所へ行けばなんとかなる、という考え方には注意が必要です」と高荷氏は警鐘を鳴らしました。
そのため、まず建物の倒壊対策などで「命を守る準備」を整え、その上でライフラインが途絶えた自宅で過ごすための「備え」を準備することが重要です。在宅避難を成立させる鍵は、止まってしまったライフラインをいかに「自前で代替するか」にあります。
高荷氏は、初めに「断水対策」を例に挙げて、非常用トイレの重要性を説明。続けて、特に代替が難しい「電気」が途絶えた場合の対策について語りました。
段階的な「電気の備蓄」
ライフラインが停止した状態を想定し、高荷氏は電気を別の手段で「機能」として代える方法と、電気「そのもの」を蓄える方法を解説しました。調理や空調に必要な家電の機能は、カセットコンロやスポーツドリンク、カイロ、湯たんぽなどの備蓄品で代替することが推奨されます。
一方で、電気そのものを蓄える方法については、段階的に導入しやすい3つのステップを、使用したい電力量の例を交えながら提示されました。
第一に、最も手軽に備えられ、LEDライトの点灯や情報の確保に欠かせないスマホ充電のための「モバイル電源」です。これには、長期保存に適した「10年保存乾電池」の備蓄が有効です。
第二に、家電を長時間動かせる「ポータブル電源」です。これはコンセントを搭載した「持ち運べる蓄電池」であり、折り畳み式のソーラーパネルと組み合わせることで、数日間にわたる停電下でも電力を自給自足することが可能になります。高荷氏によると、「近年、リン酸鉄リチウムを使ったポータブル電源は、従来品よりも安全性や寿命で優れているなど技術が進歩しています」と呼びかけました。
そして第三のステップとして、「住宅用ソーラーパネル」を紹介。晴れている限り無限に電力を生み出せる「住宅用ソーラーパネル・蓄電池」は、停電対策において最も強力な手段だと高荷氏は言います。
住宅用システムと蓄電池の活用ポイント
一般的に家庭で使用されるコンセントの出力は1500Wとされています。太陽光発電設備があれば、蓄電池がない場合でも、日中に太陽が出ていれば、「専用コンセント(自立出力)」から最大1500Wまでの電力を取り出して使用することができます。
さらに、高荷氏は、「家庭用蓄電池を併用することで、停電時でも自動的に電力が室内へ供給され、夜間も昼間に蓄えた電気で普段に近い生活を送ることが可能になります」と呼びかけます。たとえば、4名家族が冷蔵庫や照明、スマホ充電、電子レンジ、炊飯器、扇風機など、生活に欠かせない最低限の家電を厳選して使用した場合、1日あたり約5,290Whの電力量が必要になるという具体的な消費モデルを提示し、「特に夏の暑さ対策において、冷房は電気無しでは代替が非常に困難。太陽光発電設備は、災害時に家族の命を守るインフラになる」と、その意義を説きました。
専門家と市民による活発な対話
講演後の座談会では、参加者から「太陽光発電の選び方」や「ポータブル電源の選び方」など多様な質問が寄せられました。高荷氏は、「用途が未定でも壁のコンセントと同じ1,500W以上の出力を持つ機種を選べば後悔が少ないこと」や「ポータブル電源は、保証期間が5年程度あり、故障・廃棄時の無料回収を行っているメーカーのものを選ぶべき」といった実利的なポイントを回答しました。乾電池と充電池の使い分けなど、プロならではのテクニックが次々と共有され、予定時間を過ぎても質問が止まりませんでした。
環境にやさしいエネルギーがつくる日常と非日常の安心
太陽光発電があれば、たとえ停電が数日以上継続するような状況下でも、晴れている限り電力を自給自足し続けることができます。それは、災害という予期せぬ事態においても家族が安心して過ごせる環境を、自らの手で作り出すことに他なりません。今回のセミナーを通じて、太陽光発電は単なる売電や環境対策だけの設備ではなく、日常・非日常の両面において安心で快適な生活を維持する「電気の備蓄」に有効な手段であることが明らかになりました。