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プロが語る「これから」の家づくり オンラインセミナーを開催しました(2025/7/29)

川崎市環境局脱炭素戦略推進室主催のオンラインセミナー「プロが語る『これから』の家づくり」が2025年7月29日、開催されました。講師は、高性能住宅で「低CO2川崎ブランド’22大賞」を受賞した株式会社タマックの設計士、高橋氏。これからの家づくりに欠かせない「家づくりのパートナー選び」「ZEH住宅のメリット」「太陽光発電の価値」について、参加者に向けてわかりやすく解説しました。

成功の鍵は「信頼できるパートナー」との出会い

高橋氏は、家づくりの流れから解説を始めていきます。理想の家づくりには「8ステップ」あることを示しました。理想の家を思い描く構想段階から始まり、専門家と共に練り上げる設計、各種契約、着工、完成後の長期にわたるアフターサービスまで、家づくりはステップに則りつつ進んでいくことを概説しました。構想段階では、インスタグラムやアイデア共有サイト「Pinterest」を活用することで、既に家を建てた人たちの生の声や、自宅に取り入れたい工夫点などを学ぶことができると言います。

このステップの中でも高橋氏が強調したのは、共に歩むパートナー選びの重要性です。
「ハウスメーカーや工務店、設計事務所といった多くの選択肢がありますが、どれが唯一の正解ということはありません」と前置きした上で、「大切なのは、『家を建てる』ことだけが目的になっているのではなく、『建て主のこれからの生活を真剣に考え、不安を解消してくれる』という姿勢を持つ業者かどうかを見極めることです」と力説していました。

2025年省エネ基準義務化とZEH住宅の価値

続いて、セミナーのテーマは「ZEH住宅」へと移ります。このタイミングで、司会を務める川崎市の担当者から2025年4月から建築基準法が改正されたことについて高橋氏に質問が投げかけられました。「改正建築基準法」では、2025年4月以降に着工する原則すべての住宅・建築物について、省エネ基準の適合が義務付けられています(一部適用外)。

高橋氏は、この改正建築基準法の内容を踏まえつつ「ZEH住宅」について話を進めていきました。ZEHとは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略称で、断熱性能の大幅な向上と高効率な省エネ設備の導入により、家庭で消費するエネルギー量を削減し、さらに太陽光発電などでエネルギーを創り出すことで、年間のエネルギー消費量をおおむねゼロにすることを目指した住宅です。

これを実現するのが、「断熱」「省エネ」「創エネ」という3つの柱です。特に「断熱」性能の向上は、快適で健康な暮らしに直結する重要な要素となります。高橋氏は、冬場の急激な温度変化によって起こる「ヒートショック」のリスクが、意外にも寒冷地である北海道などよりも東京都や神奈川県の方が高いというデータを提示。「断熱性能の高いZEH住宅は、住宅内の温度差を少なくし、身体への負担を和らげ、ヒートショックのリスクを軽減します」とメリットを語っていました。

太陽光発電の3つのメリット

ZEH住宅の3本柱の一つである「創エネ」の代表格が、太陽光発電です。高橋氏は、自身が過去に手掛けたZEH住宅の事例を紹介しながら、太陽光発電がもたらす3つのメリットについて解説しました。

1つ目は、CO2を排出しないクリーンなエネルギーとしての「環境貢献」。2つ目は災害などで停電が発生しても電気が使える「暮らしの安心(災害時へのレジリエンス)」。3つ目が、自宅で発電した電気を使い、余った分は売電することで電気代を削減できる「経済性」です。

暮らしの安心では、太陽光発電設備には、自立運転コンセントを準備すれば、冷蔵庫や携帯電話の充電、テレビなどの電子機器が使用できるといいます。また、太陽光発電設備と蓄電池を組み合わせることで、太陽光で発電ができない夜間時でも昼間に貯めた電気を使用できるため、安心だといいます。

高橋氏自身が手掛けたZEH住宅の実例も2件、紹介されました。一つは「緑にたたずむ平屋の家」です。こちらは、1階建ての平屋ではありますが、窓の位置や部屋の間取りを工夫することで、広々とした印象を与えられるといいます。「よく、『ZEH住宅にすると断熱性を保つために窓が小さくないといけないのでは』と質問されますが、陽の光の入り方や家全体での空気の流れを意識することで、大きな窓を設置することができますよ」と話していました。

また、「高気密高断熱を備えたSDGs住宅」では特に気密性能にこだわっており、家全体の隙間の大きさを示すC値が、一般的な高気密住宅とされる家でもC値が1.0㎠/m のところ、このSDGs住宅は0.08㎠/mという数値だったといいます。これは、家全体の隙間を集めても3㎝×3㎝程度の隙間しかないことを示しています。

セミナーの終盤には、参加申込時に寄せられた質問に、一つ一つ丁寧な回答がありました。「どのくらいで設置費用の元がとれるのか」という質問に対しては「建築費用自体、値上がりしている状況になります。太陽光発電設備の設置は初期投資として100万円以上かかるものですが、10年程度を見ていただければ、そのメリットを実感していただけると思います」と回答していました。

「これから」家をつくる方へ

家づくりという観点から、ZEH住宅、太陽光発電の魅力を解説していった高橋氏。最後に、「これから」家づくりを始める人に向けて、「『これから』つくる家が、未来の誰かの住まいにつながります。再生可能な家づくりである『サステナブル住宅』をつくり、地球にやさしい、地域社会にやさしい、暮らしにやさしい家を目指してください」と呼び掛けていました。

関連リンク

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