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データで見る「太陽光発電設備」 最大の魅力、決め手は?

川崎市では2024年度に太陽光発電設備等設置費補助金(愛称:たいせつ補助金)を活用して、太陽光発電設備を導入した家庭にアンケート調査を実施しました。その結果、導入した市民の満足度は極めて高く、多くの方がそのメリットを実感していることがわかりました。
この記事では、アンケートで集まった延べ200 ほどの回答に基づき、実際に設備を導入した方々の生の声を紹介します。

アンケート概要

◆概要と調査内容
・調査目的:①再エネ設備設置促進効果の定量的な把握
      ②令和8年度以降の制度設計に活用
・調査概要:設備を設置した動機や実際に使用した感想等を調査
・調査方法:インターネット調査(約300件)
・調査期間:令和7年3月26日~令和7年4月13日(189件回答)

◆回答者の属性
・年代(上位) :50代(50件)、40代(47件)、60代(33件)
・世帯人数(平均):3.31人
・居住区(上位) :①麻生(41件)、②宮前(38件)、③多摩(27件)
・補助対象設備:蓄電池(179件)、太陽光(85件)、ZEH(18件)

導入した市民の87%が「導入して満足」

今回、川崎市が実施したアンケート調査で最も注目すべき結果は、導入者の満足度の高さです。太陽光発電設備を設置した方のうち、実に87%が「これから設置を考えている人にお勧めしたい」と回答しました。蓄電池でも86%、ZEH(ゼッチ:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に至っては100%の方が推奨しています。 この数字は、導入したほとんどの人が、設置前の期待を上回る価値を実感していることを示しています。

最大の魅力は「光熱費の削減」

太陽光発電を導入する最大の動機は、経済的なメリットでした。アンケートでも、太陽光発電設備に期待した効果として68%の方が「光熱費の削減」を挙げており、これは他の項目を大きく引き離すトップの理由でした。
設置後に最も満足している点としても、64%の方が同じく「光熱費の削減」と回答しています。電気代が不安定な中で、自家発電・自家消費によって家計の負担を軽減できることを、多くの家庭が実感しているようです。日中の電気を太陽光発電でまかない、余った電気は売電したり蓄電池に貯めて夜間に使用したりすることで、購入する電気量を減らし、月々の支出を効果的に抑えることが期待できます。

災害時に実感する「もしも」の安心

経済的なメリットと並んで、近年重要視されているのが停電時に備える「防災」の観点です。日中に発電する太陽光発電設備に加えて、発電した電気を貯めておく蓄電池をセットで導入することで、災害時に備えることができます。
実際にアンケートでは、蓄電池を設置した理由として50%の方が「電力価格の上昇」を挙げましたが、それに次ぐ38%の方が「災害時の備え」と回答しました。また、蓄電池を導入して満足している点としても39%の方が「停電時の備え」と回答しています。

家族の意識を変える「省エネ効果」

太陽光発電設備の導入は、家族の環境意識を高めるという副次的な効果もあることがわかりました。アンケートによると、太陽光発電設備を設置したことで、実に81%もの家庭が「家族の省エネ意識が向上した」と回答しました(「より意識するようになった」42%、「少しは意識するようになった」39%の合計)。
多くの場合、太陽光発電設備を設置すると、モニターや専用サイト等で発電量や消費電力をリアルタイムで確認することができます。この「見える化」が、家族の省エネに対する意識変化をもたらしていると考えられます。アンケートの自由回答では、「電力使用を意識するようになった」「節電意識UP」など、ポジティブな意見が寄せられています。

導入のベストタイミングはいつ?

それでは、太陽光発電設備の導入を検討する最適のタイミングはいつなのでしょうか。アンケートで「太陽光発電設備の導入のタイミングを教えてください」と質問したところ、「(家の)新築時」が40%と最も多い結果となりました。新築であれば、設計の段階で相談をすることで、屋根の形状を太陽光パネル設置に最適化したり、パネル設計に伴う電気関係の配線を整えたりすることが可能となります。
他方で、「(タイミングは)特になし(太陽光発電設備を設置したかったから)」という回答も40%の同率1位でした。

また、近年、固定価格買取制度(FIT)の期間が満了となる、いわゆる「卒FIT」をきっかけに、売電から自家消費へ切り替えるために蓄電池を導入するというケースも増えています。

費用の不安は「補助金」で解決

導入におけるハードルの1つとして、やはり初期費用・導入費用に対して不安があったとの回答が多数ありました。アンケート では、太陽光発電設備の不満点として29%、蓄電池の不満点として41% の方が「導入費用」を挙げています。

こうした不安低減の一助とすることを目的に、川崎市では導入に係る費用の補助を行っています。実際に太陽光発電設備を導入した方のうち73%、蓄電池を導入した方のうち82%が、補助金の存在が「設置を決める後押しになった」または「より高性能な設備を設置する後押しになった」と回答しています。自由記述欄にも「補助金があったので設置に踏み切れた」「投資回収の見通しが立った」といった声が多数寄せられており、補助制度が少なからず導入のきっかけになっていることがわかります。

まとめ

今回のアンケートから、川崎市民が太陽光発電設備や蓄電池を導入した結果、導入した方が光熱費の削減、災害への備え、そして環境意識の向上といった多くのメリットを実感していることがわかりました。初期費用というハードルは確かに存在しますが、補助金制度が導入を後押ししています。

豊かで安心な、持続可能な暮らしに向けて、太陽光発電設備等の導入をぜひご検討ください。