読み物/インタビュー記事

未来を創るZEH 快適性と環境性能を両立

高い断熱性能と太陽光発電設備などで省エネ・創エネに貢献する住宅として注目を集めるZEH(ゼッチ)。
今回は、令和6(2024)年度に川崎市の「太陽光発電設備等設置費補助金」を活用して施工した市民の住居を訪ね、ハウスメーカーの担当者にインタビューを行い、実際のZEHを取材しました。
そこから見えてきたのは、環境に優しく、経済的にもお得な未来の暮らし方でした。

ZEH(ゼッチ)とは

国は令和7年(2025年)2月に閣議決定した第7次エネルギー基本計画で「2030年度以降新築される住宅について、ZEH水準の省エネルギー性能の確保を目指す」と示しており、ZEHは標準化されつつあります。

ZEHの最大の特徴は、高性能な断熱材を使用した高断熱仕様の住まいに、高効率な設備システムを導入することで「省エネ」を実現しつつ、太陽光発電設備等でエネルギーを創り出す「創エネ」をする点です。
これらが総合的に組み合わさり、消費するエネルギー量と産み出すエネルギー量の収支をゼロにすることを目指していることから、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(Net Zero Energy House)、この頭文字を取って、ZEH(ゼッチ)と呼ばれています。

壁も床下も窓も断熱、まるで魔法瓶

今回、取材にご協力いただいた住宅は、市中部エリアの閑静な住宅街の一角にあります。令和6(2024)年12月中旬に竣工した出来立てほやほやの2階建で、施工を担当した積水ハウス株式会社の井上凌太さんが、これからこの家の主となるオーナーと出迎えてくれました。

取材はオーナーへの引渡し日直前のタイミングで行いました。玄関からリビングに入ってまず驚いたのが、室内の暖かさです。

「皆さんが来る30分ほど前にエアコンを入れて室温を調整しましたが、とても暖かいでしょう。壁にも床下にも、天井にも、家全体を包み込むようにたっぷりと断熱材を使用しています。また、オーナー様のご希望もあり、通常よりも内壁を30㎜ほど厚くし、断熱材を増量することで、より高い断熱性を保っているんです」と井上さんは解説します。

「ここからみると断熱性の秘密がわかりますよ」と言われ、点検口から床下をのぞき込むと、床全体を覆うように敷き詰められた断熱材を見ることができました。これは、ポリスチレンフォームで、床下から伝わる冷気もシャットアウトしています。

「私たちハウスメーカーがZEHの断熱性をお客様に説明する際に、『まるで魔法瓶のような家です』とお伝えしています。魔法瓶は外びんと内びんの二重構造の間にある真空が熱を伝えないようになっていますが、この家も、壁や床、天井など、内壁と外壁の間を高性能な断熱材で覆うことによって、熱を遮断する状態を作っているんです」

窓断熱と熱交換型24時間換気システム(第1種換気仕様)でいつでも新鮮な空気

この家の快適性を保つポイントは、断熱性能の高さだけではありません。
たとえば、窓。外側は丈夫なアルミ、内側は断熱性の高い樹脂を使った、特別なサッシを採用しています。一見、ただの透明度の高いガラスに見えますが、このガラスの内側には「気体の断熱材」とも呼ばれるアルゴンガスが入った空気層があり、熱の伝導をシャットアウトしています。

また、この住宅は、熱交換型の24時間換気システムを備えています。部屋の空気を入れ替える際、外の空気を室温に近づけて取り入れる機能もついているため、換気で部屋の温度が大きく下がる心配もありません。

太陽光発電と蓄電池でエネルギーを創る

ZEHの特徴の一つである創エネルギーは、太陽光発電設備でまかなっています。さらに、創ったエネルギーを効率よく活用するため、蓄電池も併せて設置されています。
これはオーナーのこだわりの一つ。オーナーは、「家を建てるなら、太陽光発電と蓄電池を導入する、という選択肢以外はありませんでした。太陽光発電の導入コストは将来的に使用する光熱費のコストと、そこまで大きな開きはありません。それどころか、太陽光の方が安くなる試算もあります。また、災害時のリスクへの備えも重要です。2階のウォークインクローゼットの中には、1泊用のスーツケースほどの大きさの蓄電池が設置されています」と言います。

井上さんは、蓄電池の利点について「蓄電池を導入することで、日中に太陽光パネルが発電した電気を貯めておくことができます。日常は、蓄電池に貯めた電力を夜間に使って光熱費を節約できますし、いつ何時災害が起きても、蓄電池があれば電気を使うことができます」と解説します。

さらにオーナーは、「この部屋のコンセントは、停電時でも蓄電池から電力が供給されるように設計してもらっています。受け口が黒いコンセントが、蓄電池とつながっているものです。災害が起きても、最低限この部屋だけは快適な住環境が期待でき、家族と住み続けるこの家として、安心は欠かせませんでした」と話します。

省エネ・創エネを管理するHEMS(ヘムス)

リビングの壁に設置された液晶モニターは、HEMS(ヘムス;Home Energy Management Systemの略称)です。これは、太陽光発電設備や蓄電池を一元的に「見える化」しており、現在の消費電力はもちろん、各部屋でどのくらい電気を使っているか、無駄は無いか、電気の家計簿のようにリアルタイムで確認することができます。
オーナーは、「これから住み始めるのでどのような機能があるか、見ていくのが楽しみですが、家族の節電意識を高めてくれると思います」と期待を込めます。

「未来を見据えた、自分らしい家を」

日常から災害時の安心まで、将来起こり得るリスクを見据えて設計されたZEH。井上さんは「大手のハウスメーカーの多くは、すでにZEHを家の標準仕様としています。国が推進しているのもありますが、それ以上に、ZEHに住むことで得られるメリットが非常に大きいことが魅力です。私も自信をもって案内できますし、実際に見学に来られる方からも『やっぱりZEHがいいね』という声も多く聞きます」と太鼓判を押します。

その話を聞きながら頷くオーナーに、ZEHを選んだことに後悔はないかと水を向けると、「未来を見据えた家づくりがしたかったから、ZEH以外は考えられませんでした」と笑顔で答えてくれました。

教えてくれた人

積水ハウス株式会社 神奈川東支店 井上凌太さん